答 弁 書

 

2008年5月21日

 
東 京 地 方 裁 判 所 民 事  第 9 部
               御 中

平成20年(コ)第1802号 ビデオカメラ等持込禁止仮処分命令申立事件

債務者  田  中  哲  朗   菅 野 丈 夫

第1 本件申立に対する答弁。
 
1 本件申立を棄却する
2 訴訟費用は債権者の負担とするとの決定を求める。
 
第2 本件申立に対する反論。
 
1 ビデオカメラの持込が債権者に損害を与えることについて。
 
(1)「債権者は、申立書の第16頁の3項において、債務者らによりビデオカメラ等が株主総会に持ち込まれると、債権者に著しい損害が生じ、それを避けるために仮処分が必要があると主張している。 
 
 しかしながら、債務者らがビデオカメラ等が株主総会に持ち込んだだけでは何も混乱は生じない。債権者が債務者らによるビデオカメラ等の撮影を制止しようとするから混乱が生じるのであって、撮影を認めれば何の混乱も発生せず、債権者に損害が生じることはない。
 
(2)また、債務者らによるビデオカメラ等による撮影が「他の一般株主の発言等が心理的な意味で萎縮あるいは制約され」「総会会場における自由な質疑討論が妨げられる」と主張しているが、債権者は、株主総会中、自らが常にビデオ撮影をし続けている事実を忘れているようである。債務者らによるビデオカメラ等による撮影「のみ」が、他の一般株主を萎縮あるいは制約させ自由な質疑討論が妨げられるかのような主張は理由がない。
 
(3)さらに、債権者は株主総会を撮影したビデオを、総会の運営とは無関係な債権者の社員に見せるという、許されない行為をしている。そのような債権者に「株主のプライバシー保護」云々という主張をする資格はない。
 
(4)現在では携帯電話の殆どにビデオ撮影の機能が施されている。債権者は株主の携帯電話をビデオカメラと認識して持ち込ませないのであろうか。その様なことが法的に許されるであろうか。これまでにも他の企業の株主総会では見られないきわめて珍しい状況に遭遇した債務者とは無関係な株主が携帯電話を使ってそれに撮影を行った可能性は十分にある。ただそれが公表されていないだけである。債務者と無関係な株主が携帯電話で撮影を行うとき、債権者がそれを妨害すれば本件と同様の混乱が生じる可能性があることは言うまでもない。
 
(5)債権者が債務者のビデオカメラの持込み、撮影にこだわるのは、「持込」や「撮影」そのものが問題ではなく、撮影された内容が、後に述べる債権者の違法行為や、理不尽な議事運営を暴露するものであり、それを公表されたくないことこそが本音であることは論をまたない。これらのことからも本件提訴には理由がないことは明らかである。
 
2 債務者が株主総会において質問している債権者の違法行為について。
 
(1)債務者は債権者株主総会において債権者の行っている違法行為について理路整然と質問をしている。それに対し議長である債権者社長は「目的事項ではございませんので回答を差し控えさせて頂きます」などと答えるのみで、一般株主が納得できる答弁をしない。
 「甲第9号証平成17年第81回総会3/4ページ4/4ページ」(これは平成18年第82回総会の間違いと思われる)平成19年第83回総会3/4ページ4/4ページ」
 
 それに対し債務者が「答えるべきだ」と回答の要求を続けるために毎回債権者の主張する「混乱」が生じるのである。社長が理路整然と答弁を行うなら「混乱」など生じるはずもない。そして、裁判の場においては、これら自らの違法行為の事実を棚に上げ「事実無根」「言いがかり」「嫌がらせ」などと言いつのっているのである。
 
(2)債権者は1978年に1350名に及ぶ「人員削減」を行った。被解雇者の内、約70名が解雇を不当として闘争を行い、1987年に約半数が職場復帰することで和解した。しかし、債権者は職場復帰した者、及びその支援者に対し、仕事の取り上げ、昇進昇級さべつ、さらに職場でのいじめをし向けるなどの人権侵害を行ったのである。 この人権侵害は現在に至るまで続いている。
 債権者は事実無根と主張するが、多くの泣き寝入りの中で、被害者が法的手続きを取ったものさえ存在するのである。以下はその例である。
 
(3)債権者本庄工場の従業員、真喜志(まきし)晃さんは1978年の指名解雇で解雇され、1987年、和解で35名とともに職場復帰した。しかし、職場復帰した人に対し、仕事差別、職場での無視が行われた。眞喜志さんはこれを不服とし、仮処分の訴えを浦和地方裁判所熊谷支部へ起こした。 (平成3年(ヨ)第87号職種変更等仮処分申立事件)
 
(4)それに対し裁判所は以下の決定を下した。
 
  債務者沖電気工業株式会社は、債権者にたいして、QCサークルからの排除、納涼祭、運動会、忘年会、新年会、親睦会からの排除等、一切の差別的取り扱いをしてはならない。
 
  債務者沖電気工業株式会社は、債権者を、隔離され他の従業員との交流を絶たれた上、基盤図面に記載された電子部品の色塗りによる単純識別作業を主とする現在の作業内容及び定位置に座り続けたままの作業形態から、債権者の職歴、能力、適正、希望を勘案して、他の従業員との交流も存し、かつ歩行などによる移動も伴う作業形態を持つ職種に変更せよ。(債務者ホームページ眞喜志事件参照http://www.okidentt.com/kabusaiban/makisi.htm
 
(5)会社は「差別など、この会社にない」と主張するが、裁判所がその存在を認めた差別の例である。その後、この事件は債権者(沖電気)が真喜志さんの仕事内容、待遇などを改めるという内容で和解した。債権者は和解をしたのだから差別もなかったかのような言い逃れをするが、理由にならないことは言うまでもない。
 
(6) 更には、
@  1981年ごろ、指名解雇争議団の代表中山森夫氏の妻で債権者の従業員であった中山洋子さんと、争議を支援していた浅利さんが、債権者より仕事差別を受けたとして労働委員会に 提訴した。
 
A  1993年頃、指名解雇されたが、闘争の結果職場復帰したところの秦康博さんが、リフレッシュ休暇を与えられなかったとして、債権者を東京地方裁判所に提訴した。
 
(7) これらは、裁判所、労働委員会という公の機関を通じての、差別、人権侵害についての苦情の申出であり、債権者の行ってきた人権侵害の氷山の一角でしかないことは言うまでもない。 債務者は現在も差別を受けている被害者からその内容について報告を受け、それを元に質問を行っているのである。
 
(8)債権者は2000年に大分県湯布院町の公共事業、防災無線工事において談合を行った。この事件は2006年12月大分地方裁判所は裁判所が沖電気が談合を行ったことを認め、由布市に対し沖電気に4490万円の損害賠償請求をすることを命じ、沖電気が控訴し6月17日には福岡高裁において控訴審判決が出されることになっている。
債務者のホームページ「湯布院防災無線工事沖電気談合裁判資料」参照http://www.tetsurotanaka.com/yuhuin/shiryou/shiryou.html
 
(9) この事件は同公共事業において債権者(従業員)が行った贈賄事件(2004年に有罪が確定)の裁判資料を債務者が入手し、発覚したものである。
 
 債権者は、犯罪行為という企業の存亡に関わる重大事を犯しておきながら、さらに地方裁判所で実質上の「有罪判決」を受けたにもかかわらず、「目的事項ではございませんので答弁を差し控えさせて頂きます」などと答弁拒否を行っているのである。
 
2 債権者株主総会の議事運営について。
 
(1)上記したごとく、債務者は債権者株主総会において債権者の行っている違法行為について根拠を示し、理路整然と質問をしている。それに対し議長である債権者社長は、「当社に差別はございません。」「目的事項ではございませんので回答を差し控えさせて頂きます。」などと、一度たりとも具体的な答弁したことがない。(甲9号証)
 
(2)この答弁が答弁としてのていをなしていないので、再質問を求めても拒否し、債権者が準備した株主に議事打ち切り動議を出させ、強制的に総会を打ち切ってしまうことを繰り返してきたのである。
 
(3)当初はあきらめていた債務者も、これでは株主の権利を侵害されていると考え、質問に答えるように求め続けると、債権者は質問を続けようとする株主を暴力で排除するようになったのである。
 
(4) 2002年の株主総会において債務者が排除された際、同じく暴力的に排除され、債権者の乱暴な対応で上着を破られた上田恵弘株主は、債務者と共に東京地裁八王子支部に提訴した。(平成15年(ワ)第2823号 損害賠償等請求事件)この裁判で上田氏は 2005年に
 
被告(沖電気)は,原告に対し,被告の株主総会において,原告が,被告の株主としての権利を商法等の法令の規定に従って行使するときは,誠実にそれに対応することを確約する。
 
という内容で債権者と和解した。
債務者ホームページ「上田さん和解を勝ち取る」参照
http://www.okidentt.com/kabusaiban/uedawakai.html
 
 このとき、裁判所から債務者に対しても同内容の和解案が示されたのであるが、上田氏は受け入れ、債権者はことわったのである。
 
 それ以来、債権者はやむなく 上田氏と債務者には質問を認めるようにはなったが、時間を3分に限定し、再質問さえ認めないのである。
 債権者にとって、株主の質問権に「誠実にそれに対応する」とは、質問を3分間の限定し、「目的事項ではないから答えない」という答弁を持って「適切な答弁を行った」とし、再質問さえ認めないことなのである。
 
(5) また最近債権者は株主席に番号を付け、議長はあらかじめ債権者が準備した株主を、座席番号によって認識し、それのみを指名して発言させるという議事運営を行っている。それ以外に指名される株主は上田氏と債務者田中だけである。 質問をさせないことを理由に再び提訴されることを恐れて、この二人だけには形だけの質問をさせているだけなのである。この議事運営は株主の質問権を尊重しているとはとうてい言い難いのである。        
 
4 債務者がビデオ撮影等の記録を取る必要性について
 
(1) 債務者がビデオカメラを持ち込む理由は、債権者が株主の正当な質問に答弁を拒否し、追求されると株主を暴力で排除することを繰り返しているからである。                       
 債権者が違法行為、それも談合などという犯罪までをも繰り返し、それを全く反省しない姿勢から鑑みるに、自らが暴力を振るっておきながら、逆に株主が暴力を振るったようなでっち上げを行い、刑事弾圧をたくらみかねない危険性があると考えざるを得ない。
 
(2) 債権者はビデオ撮影を行っているので、その映像、音声を株主の求めに応じて提供するならば、株主が自ら記録を取る必要はない。しかし、債権者は債務者が提起した裁判の中での要求でさえ、その記録を提出することを拒んだのである。
 
(3) 最近では株主総会をテレビ中継で公開している企業すらある中、債権者は総会の内容を公表しておらず、総会会場はいわば密室である。参加している者の多くは債権者の関係者である。そのような状況下で暴力にからむ事件が起きたとき、その事実を証明し、自衛するには自らが記録を持ってするしかないのである。
 
5 債務者が拡声器を持ち込む理由について
 
(1)債権者は長年に亘り、議長ら債権者側の者のみがマイクを使い、株主には一切マイクを使わせなかった。債務者は、相当に広い会場において高齢者の株主も参加しており、大声を張り上げて質問しなければならないのは理不尽であるから、マイクを使用させるよう繰り返し要求してきた。しかし、債権者はそれに応じようとはしなかったのである。
 
(2)債務者はやむなく1998年の総会において拡声器を持参して使用したのである。これが功を奏したのか、翌年1999年から債権者は株主に拡声器の使用を認めたのである。
 
(3)しかし債権者は自らに都合の悪い発言が行われると、マイクの電源を切る、マイクを取り上げるなど、拡声器を使わせないことにより、株主の質問する権利を侵害する行為を繰りかえしてきたのである。
 これでは、株主としての権利の行使が出来ないため、自ら拡声器を持ち込まざるを得なかったのである。 債権者が株主の発言をマイクを取り上げ発言を中断させることで株主の質問権を侵害しなければ、わざわざ重たい拡声器を持ち込む必要はないのである。
 
6 債務者田中哲朗の活動について。
 
(1)本件において債務者は商法に認められた株主としての正当な権利を行使している。その権利の行使について債務者の経歴や「活動」は関係がない。しかし、債権者はあたかも債務者が無頼の徒であり、債務者の人物について誤解と偏見を裁判官に持たせ、債務者の株主総会出席の目的についても間違った認識を与えようとしていることは明らかなので(賢明な裁判官にはその必要すらあるとは思えないが)若干触れておく。
 
(2)債権者)が「いやがらせ」と称する債務者の活動は、債権者及び、他企業の中に存在する人権侵害を指摘し、改めさせようとするものであり、この活動は、日本のみならず、広く世界のメディアに好意的に繰り返し取り上げられている。(必要に応じ証拠を提出出来る) 
(債務者ホームページ「マスコミの記録」参照http://www.okidentt.com/masukomi0310.htm
 
(3)また、債務者は全国から企業の中の人権問題についての講演、コンサートを依頼され続けている。 これは債務者の活動が広く社会に受け入れられ、理解されていることの証である。(必要に応じ証拠を提出できる。債務者のホームページ「コンサートの予定と記録」参照 http://www.okidentt.com/live/2004con.htm
 
(4)債務者は運動として「解雇撤回闘争」を行っているのでそれがスローガンであることは間違いないが、株主総会において自らの解雇撤回を要求する発言は行っていない。債権者は裁判になると必ずこの「解雇を撤回させるために株主総会に出席している」と、うその主張を行って、全く事実と違う認識を与え、問題の本質から裁判官の目をそらそうとしてきたのである。
 
(5)債権者は債務者田中が「正しいのは自分であり、自分と意見を異にするものは間違っているだけではなく、不正であるとの言いがかり」をつけるような偏った人物であるかの様な主張をしている。
 債務者は常に、意見が異なれば、理解し合うために話し合うべきだ、と主張している。しかし債権者の議長こそが一度たりとも債務者を納得させようとする答弁をしたことがないのである。
 
 余談ではあるが、債務者は「日の丸君が代問題を語る会」を主催し、日の丸君が代の強制に反対している人たちと日の丸君が代を推進している人たちとの公開討論会を主催している。債務者のホームページ「日の丸君が代問題を語り合う会」参照 http://www.din.or.jp/~okidentt/katarukai.htm
 日の丸君が代推進の立場から「日本世論の会」会長三輪和雄氏、東京都都議会議員土屋たかゆき氏、強制反対の立場から根津公子氏、など、まったく立場主張の違う人たちが参加し、活発な討論が行われた。この会は、有益な討論が出来たと好評であった。
 
 「正しいのは自分であり、自分と意見を異にするものは間違っているだけではなく、不正であるとの言いがかり」をつけるような人物がこのような討論会を主催運営出来るであろうか。債権者の主張する債務者の上記人物像が虚偽であることがこれによっても伺われるのである。
 
結語                           
 
 債権者の要求はつまるところ、株主総会を密室にして欲しいというものである。自らにやましいところがなければそのような必要はない。
 
 一方債務者は自らの行動、直面した事実をホームページを使って社会に公表し、問題提起をし続けている。どちらが反社会的であるかは論をまたない。 
 
  巨大な財力を持つ企業、債権者が、なんの組織すら持たない徒手空拳の私ごときの人間に毎年株主総会をかき回されていると思っているのだとしたら、それは大企業の経営者として問題解決能力のなさをさらけ出していると言わざるを得ない。
 
 債権者にとって最も良い問題解決の方法は債務者にビデオカメラを持ち込ませないことではなく、自らの違法行為を改め、株主総会の議事運営をまともなものにすることである。
                 
 
 
 

以上